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HOME > 伯耆古城図録 ~日野郡篇~ > 城ノ段要害 > 同好会活動日誌

◆城ノ段要害

 

【 概 略 】

字「城の段」に所在すると云われているが正確な場所は特定されていない。

日野郡史では三村大助の居城とされるが詳細は不明。

別名に半ノ上城とも云われ、こちらは半江藤右衛門繁吉など半江氏(半口氏)の居城と伝わる。

 

地元では城ノ段を「じょんだ」と呼ぶそうである。

現地は畑と原野になっているが、鉄穴流しのための真砂土採取・採掘によって全壊したと考えられている。

林道の脇にはたたら製鉄に関係する施設(小舟跡?)と思われる石垣と郭跡も見られる。

 

日野郡史では「武庫の城の段」、日本城郭全集11や日本城郭大系 第14巻では「武庫城」とも記されており、

日野郡史には武庫の城の段の条に以下の記述が見える。

 

「字城の段に在り。山の麓にて今は畑と原野なり。三村大助の居城ありし由」

 

半ノ上城が所在した半ノ上村については伯耆志で半ノ上村(亡村)の条に以下の記述が見える。

 

「当村、今人家存せずただ其高を州河崎村に附す故に(略)」

 

伯耆志 半ノ江村(亡村)の条、辻堂の項には半ノ上城主、半江藤右衛門繁吉(伯耆志では半口藤左衛門)についての記述も見える。

 

「木佛三軀を安す。中一は半口藤左衛門の像と伝えり。往古、州河崎村相見ヶ淵に大山椒魚あり。

 此の魚、往々村民を害す。当時の代官半口氏、是を聞いて自ら彼の淵に臨み、水中に入て椒魚を刺殺す。

 村民是より其害を免るる事を得ければ後、半口氏の肖像を作りて其恩に報するなりとぞ。当時、半口氏椒魚を屠りし短刀、

 荒神の祠中に韞め置きたりしを今紛失すと云へり。按するに半口の口もしくは江の字の誤ならん。歟半口を伝へる。

 姓も似つかはしからず。半江なら半の工を訓へし。然らば村名も同氏の姓字を以て呼べるか。江を上と轉訛せるものならん歟」

 

日野郡史の大ハンザケ伝説では以下の記述が見える。

 

「神奈川村大字州ヶ崎(州河崎)字上工ノ(半ノ上?)山に一宇の堂あり。半口何時の頃かに半口藤右衛門といふ大宮あり。

 六十三石を領し、頗(すこぶ)る勇名あり。当時、同村相ヶ淵に巨大なる山椒魚あり。人畜を害する由を聞き、框を製してその内に潜み、

 川上より流れ出でて山椒魚が呑み込むところを框内より刺殺しけり(略)」

 

大ハンザケとの戦いの描写には諸説伝わる。

 

伯耆志に見える「短刀」の件について、戦いの際に99本の刀が折られるが100本目で倒した時の刀が大宮に奉られた短刀と伝わる。(地元の伝承)

 

退治された大山椒魚は3つに切り分けられ、頭を旧明倫小学校の裏山(宮の前)の七色樫のあたり、しっぽを川を挟んだ北側の山中、

胴体を俣野の山中に分けて埋められたと伝えられている。

その場所から生えた樫が山椒魚の血を吸い「七色樫」になったという伝承があり、現在でも3箇所で七色樫を見ることが出来る。

 

相見ヶ淵(あみがふち)では山椒魚が獲れ、これを食べていたとも云われている。

 

現在の日野川とは川筋が異なるようで、当時は武庫の七色樫の麓を流れていてここが乙女ヶ淵(愛ヶ淵)と伝えられる。

半ノ上周辺は田舟を出して稲作を行うほど深い沼田であったとも云われる。

 

江府町史では七色かしの伝説として以下のような記述が見える。(要約)

 

「城主、半口藤右衛門の頃、息子の亀ノ丞の身の周りの世話を務める、おさみと云う女性がいた。

 おさみは次第に亀ノ丞に惹かれ恋心を抱くが、亀ノ丞には豊臣家の家臣、大野修理亮長治の娘との縁談が決まってしまう。

 婚礼の夜、おさみは乙女ヶ淵(愛ヶ淵)から身を投げるが、此の時、亀ノ丞の婚礼の時には身に着けるよう藤右衛門から与えられた着物が

 樫の木にかかっていたと云われ、其の木が七色樫と云われる」

 

このあと、おさみが大蛇になるなど派生した伝承(七尋女の伝説)など諸説が語り継がれる。

 

物語に大野修理亮治長の娘との縁談が出てくることから半口氏(半江氏)は天正~慶長年間までは当城の周囲を治めていたと考えられ、

語り継がれる大ハンザケ伝説や祀られた大宮の存在から半江氏は領民思いの名君であった事も推測できる。

 

【 遠 景 】

西側からの遠望

半ノ上集落からの遠望

城ノ段からの遠望

【 概 要 】

名 称城ノ段要害(じょうのだんようがい)

別 名:半ノ上城(はんのうえじょう・はんのえじょう)/武庫の城の段(むこのじょうのだん)/武庫城(むこじょう)

所在地:鳥取県日野郡江府町武庫

築城年:不明

築城主:不明

城 主:毛利氏…半江氏、半江藤右衛門繁吉三村大助

文 献:伯耆志、日野郡史 前篇(昭和47年4月発行:日野郡自治協会)、江府町史(昭和50年12月発行:江府町史編さん委員会)、

    新修江府町史(平成20年6月発行:江府町史編纂委員会)、日本城郭全集11(昭和42年10月発行:株式会社 新人物往来社)、

    日本城郭大系 第14巻 鳥取・島根・山口(昭和55年4月発行:株式会社 新人物往来社)、

    州河崎 むらの歴史(昭和61年3月発行:州河崎部落 むらの歴史発刊委員会)

形 態:山城

遺 構:不明(郭跡、石垣、土塁)

現 状:畑地、山林、原野

種 類:史跡指定なし

登城難易度⇒★★(普通)

【 地 図 】 日野郡内の城跡

【 年 表 】

年号 西暦 出来事

不明

不明

村民からの訴えで当地を荒らす大山椒魚を半ノ上村の代官であった半口藤左衛門が退治したとある。(伯耆志)

天正年間

慶長年間

不明

半江藤右衛門の息子、亀ノ丞と大野修理亮長治の娘との縁談がまとまったと伝承に伝えられる。

(七色樫の伝説:江府町史、民話伝承など)

不明

不明

三村大助の居城と云われる。(日野郡史など)

【 写 真 】(訪問日:2015/07/04) 

麓の様子

半ノ上集落内の石垣

城ノ段から続く水路

半ノ上集落内の石垣上にある田圃

城ノ段の畑地(土塁の名残?)

城ノ段の畑地の石垣

城ノ段の畑地

城ノ段の畑地から林道

石垣を持つ郭跡(たたら製鉄関係?)

石垣を持つ郭跡の虎口

石垣を持つ郭跡の虎口

石垣を持つ郭跡は連郭式

更に林道を進むと腰郭のような場所が多い

切り通しの脇には土塁状の土盛

切り通しの脇には土塁状の土盛

林道脇には段々の連郭状の平坦地が多い

林道脇の腰郭状の郭跡

林道脇の腰郭状の郭跡

削平は甘いが広い空間

連郭状の平坦地

城ノ段から日野川の眺め

旧明倫小学校裏山の七色樫

裏山から小学校を挟んで見える七色樫(中央)

周辺ではカナクソが多く見られる

【同好会活動日誌】

城跡の所在した場所については特定されていないけど、字名の「城ノ段」付近が城跡といわれているわ。

地元の方々は「城ノ段」を「じょんだ」と呼ぶそうよ。

 

尼子の頃からたたら製鉄による真砂土の採取は行われていたと考えられていて江美城の蜂塚氏とも関係があった可能性は高いわね。

 

地元に残る伝承にはいくつか周辺の地名が出てくるみたいで、伝承や民話から城について探っていきましょう。

先ずは相見ヶ淵の大ハンザケ伝説だね。

ハンザケの棲む場所で相見ヶ淵、会見ヶ淵、相ヶ淵、愛ヶ淵、乙女ヶ淵…

伝承や物語によって色々な呼び名が出てくるけど同じ場所なの?

 

あと、伝承には当時の代官「半江藤右衛門」の名前が出てきて、半江氏が城主であったことが考えられそうだね。

ハンザケの棲んでいた淵については相見ヶ淵(会見ヶ淵)が元になった可能性は高いわね。相ヶ淵は略して、愛ヶ淵は当て字、

乙女ヶ淵は後述する七色樫伝説に物語性と感情移入を持たせるために作者が振り替えた可能性もあるわね。

 

愛ヶ淵、乙女ヶ淵は武庫の七色樫の近く、相見ヶ淵、相ヶ淵はそこから少し上流と云われるみたい。

 

武将として名前の出てくる半江藤右衛門繁吉だけど、記述の在る書物によって記述がまちまちなのよね。

伯耆志だと「半口藤左衛門」(注釈で半口は半江が正しいだろうと補足)、日野郡史だと「半口藤右衛門」、

江府町史だと「半口藤右衛門繁吉」と諱までわかっているみたいよ。

 

大ハンザケ伝説の明確な時代がわからないので、ハンザケを退治した半口藤左衛門と七色樫の伝説に云われる

大野修理亮長治の娘との縁談がまとまった頃の半江藤右衛門繁吉が同一人物かどうかは微妙なトコね。

 

かなり長い間、半ノ上村を半江氏が治めていたことには繋がりそうだけど。

大ハンザケ伝説にある山椒魚の退治の方法にも諸説あるよね。

水中で戦うのはまだ様になるけど、框の箱に入って上流から流してもらい、食べられたところを刀で突くとか…

 

微妙に七色樫の伝説も微妙に大ハンザケ伝説と繋がってるよね。

框の箱に入って流してもらう方の伝承はハンザケに呑まれる前に日野川の激流に呑まれてしまいそうだけどね…

 

一般的には半江藤右衛門繁吉の息子、亀ノ丞に恋をした侍女、おみさが入水した悲恋の伝説の方が一般的みたいね。

この説から当時の日野川が今の場所ではなく、現在七色樫がある明倫小学校(廃校)の裏山付近を流れていた可能性が

考えられるそうよ。

 

七色樫の伝説にはもう一説あって、半江藤右衛門が退治したハンザケを頭、胴体、尻尾に切り分けて、

武庫に2ヵ所、俣野に1ヶ所埋めたみたい。そこから生えた樫がハンザケの血を吸いながら育ち色を変えるという伝説も。

 

ちなみにこの七色樫、種をとって植えても七色にならないそうよ。